遺言の失敗事例

私（山田）の兄、一郎は体が弱く一人では生活ができません。妻子とは長年別居しており、近所に住む姉の花子と私が一郎の生活を面倒見ていました。長年の別居もあって、「死んだ時は妻と子供には相続させたくない。面倒を見てくれた姉さん達に相続して欲しい」と生前話しておりました。 

しかし、一郎は遺言を残すことなく、亡くなりました。そして、遺言がないばっかりに、私と花子は一郎の遺産を相続することなく、一郎が財産を渡したくないと考えていた妻や子供に全ての遺産が渡ってしまいました。 

納得いかなかったので、専門家に話を聞くと、「妻子の遺留分が存在するので、遺産全部を渡さないことは不可能だが、遺言に一言『花子と私にも相続をさせる旨』を記しておけば、遺贈という形式で遺産は相続できました。」と話してくれました。 

この話を聞き、相続して欲しい人に相続させられず、相続させたくない人に財産が渡ってしまい、一郎がかわいそうでなりません。 

　一郎に遺言を書いておいてもらえばよかったと心から思います。

清田さん（仮名）は、子供のうちの一人（Ａ）と同居していました。Ａはほかの兄弟たちがご本人に会ったり、旅行や買い物に連れて行くことに対して、ヒステリックに拒絶し、『会うときは保護者の自分を通さなければいけない』と言ってききませんでした。 

少し極端ですが、親思いの良い子供だと他の兄弟たちは思っていました。 

しかしほかの兄弟たちは、ご本人が亡くなった後にようやくＡが清田さんを自分たちに会わせない理由が分かったのです。 

清田さんはＡに全財産を相続させるという内容の自筆証書遺言を作成しており、それを知ったＡは清田さんが新たに別の内容の遺言を作成するのを阻止するためだったのです。

清田さんが亡くなった後、ほかの子供たちは、遺産調査や遺留分減殺請求に多大な労力を強いられることになりました…。 

このように、なんらかの予兆や独り占めなどを考えているような相続人がいる場合には、専門家に相談して進めないとたいていの場合に平穏に相続は終了しません。 

結局は、この兄弟も不仲になってしまい、この先長い人生で、ずっとお互いを恨まなくてはいけなくなってしまいます。 

こんな不幸なことはほかにありません。

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